愚か者、中国をゆく

愚か者、中国をゆく (光文社新書)

愚か者、中国をゆく (光文社新書)

「新書大賞」に「女性版深夜特急」と紹介されていたので期待しすぎたかな?
気軽にサラッと読めるし面白くないことは無い、というか暇な時に読み返すだろうという程度に面白いんだけど1つの国、短期間の旅、そして同行者有り、ということもあってか得られる情報が少ない。
最初から最後まで切符の心配をし、同行者との関係に気を揉んで…多分これが文庫なら「面白かった〜」で済ませるところを、新書であるが故に「筆者なりの深い考察があるに違いない」と勝手に想像したのがよくなかったですね。
中国云々よりも同級生達(筆者は当時香港への留学生)との競争意識、旅人としてのプライドを素直に語ったくだりが面白かった。

落語の国からのぞいてみれば

落語の国からのぞいてみれば (講談社現代新書)

落語の国からのぞいてみれば (講談社現代新書)

落語ブームにのっかった、と言うのかどうか、まともに落語を見たこともないくせに有名なネタだけは本で読んで知っている。この本、落語の根底に流れる思想について書いているのかと思ったらそうでもなくて、落語を例にとった江戸の文化紹介と言ったほうが正しい。
年齢、暦、金、旅、相撲、利き手等等。

月の満ち欠けによって日付けを計算する、逆に言えば何月であっても晦日は月が出ないという話がひっかかったので調べてみると、日本では明治5年まで太陽太陰暦なるものが使われていて、ひと月平均29.5日。12ヶ月だと355日になるので3年に一度閏月が設けられていたらしい。

芯となる雑学部分は面白かったけど、落語のエピソードは引用程度で興味を惹かれるには少ない。筆者の切り口は面白かったり面白くなかったり。
でも徒歩の旅がやたらと魅力的に思えた。東海道踏破。一度はやってみたい。

新書大賞

新書大賞〈2009〉

新書大賞〈2009〉

昔は新書って本屋の隅にちょこっと置いてあるイメージだったけど、最近やたら新レーベルが出たりして勢いあるなあと思っていたら、どうも出版不況の影響でハードカバーが売れないことの裏返しらしい。
去年は売れ筋の新書をノリで買って失敗したことが多々あったが、こちらは新書編集部や書店員のオススメだから、と大した根拠もなく期待を寄せて、早速紹介されているものを何冊か買ってみた。1週間に2、3冊のペースで読めたらいいな。

アラブとイスラエル パレスチナ問題の構図

アラブとイスラエル パレスチナ問題の構図 (講談社現代新書)

アラブとイスラエル パレスチナ問題の構図 (講談社現代新書)

第二次世界大戦、欧米におけるシオニズムの高まりから1991年中東和平国際会議までのイスラエルパレスチナ及び周辺アラブ、アメリカ・ソ連の関係を解説。イスラエル軍の構成・軍事費に関する記述もある。

年末からイスラエルによるパレスチナ攻撃がニュースになり、いい機会なので(というかやっとこさ)少しは勉強してみようかなと購入。なんでかな?と思った事柄については大抵後から解説してくれる親切設計。まあ理解は深まったものの「誰にもどうしようもないらしい」というイメージが明確になっただけな気もする。

シオニズム初期の解説として「農村に受け入れられなかったユダヤ人は土地を耕して暮らすことへの憧れがあった」みたいな記述があり、私はいたく感銘を受けたわけですが、ロシアからの移民が増加する頃になると元からいる優秀なユダヤ人が医者や弁護士などの上流職(?)を占めていることで階級格差がうまれたそうな。農民に憧れてはみたものの、想像していたような素敵なものではなかったということだろうか。